2020.07.14

農業体験ツァー

北海道の本格的な開拓が始まったのは、今から150年前にさかのぼります。日本人が移住するまでは、アイヌの人達が狩猟や採取により生活をしていました。移住した日本人は原野を開拓して農地をつくり、増え続ける人口に食糧を提供しました。今や、北海道は日本最大の農業生産国になっています。

北海道は開拓を始めるに当たって、アメリカとヨーロッパ諸国から農業の専門家を招きました。それは、北海道の気候(亜寒帯)が日本の他の地域の気候(温帯) と違い招待国の気候と似ていたからです。そのため、北海道は、アメリカ、ヨーロッパと同様、畜産と畑作を主体とした大規模で機械化された農業を進めるようになりました。この点で、北海道農業は、日本の他の地域の稲作を主体とした小規模な農家とは違う独自なものとなっています。

夏に、フィリピンからお客さんをお迎えした時のツァーは農業体験が含まれていました。酪農家での搾乳とバターづくりです。経営者の娘さんが我々を歓迎してくれ、この農場の経営概要と搾乳、バター作りの段取りを説明していただきました。ガイドの私が通訳をしたのですが、この農場では、黒毛和種の子牛の価格が高いため、経営の補完に乳牛の雌に黒毛和牛の受精卵を移植して子牛を生産していました。違う品種間での受精卵は自国では聞いたことがないらしく驚いていたようです。

現在、搾乳は機械で行いますが、体験は昔に行っていた手しぼりです。「手際よく絞り、十分なミルクがでると牛は満足するが、不器用にやりミルクの出が悪いと牛は機嫌が悪くなり蹴るから、牛の足の後ろには立たないでください」と私が言ったのを聞くと、700kgもある牛の前に立っていたお客さんは初め神経質になりましたが、何とかやり遂げました。もちろん、キックもなく皆さん楽しんで搾乳を行い、満足したようです。

バターづくりは非常に単純です、生クリームと、必要なら塩を入れてから蓋をして振るだけです。あるお客さんは、振るのに合わせダンスのステップをして、皆さん大笑いでした。

私は、ガイドになる前は北海道の農政部に長い間いたおかげで、皆さんにより多くの情報を与えることができたような気がします。結果として、全てが順調に進んだのでほっとしました。

概して、外国のお客さんはイベントに積極的に参加するのが好きなので、今回も十分楽しめたかと思います。日程の多くは観光ですが、体験観光は忘れがたい思い出になったかなと思いますし、観光ツァーに新たな楽しみを付加したことかと思います。