「落語の楽しみ」
COVID-19パンデミックに記録的豪雨-悪いニュースが続くこんなご時世、人が求めるのは何も考えずに「笑える」ことかもしれません。
米国のStandup Comedyに対し、わが日本が誇る笑いの伝統のひとつと言えば、”Sit-down Comedy”、つまり「落語」です。
ガイド業務が全滅状態で思いがけずできた貴重な時間に、ガイドとしての自分磨きに余念がないH-SEGガイドの面々。その研修の一環として、『落語研修』が実施されました。お客様を笑わせるスキルは多くのガイドが会得したいと考えていても、一筋縄ではいきません。そんな貴重なスキルと知識を惜しげもなく披露しましょう、と2人のメンバーが手を挙げてくれました。
寄席の高座に代えてオンラインとなった特殊な舞台。まず手始めは、落語ファン歴数十年というつわもの「道産子亭めぐちゃん」による『落語の楽しみ』と銘打った「前座」から。落語にはまった理由に始まり、落語の歴史、落語業界(裏)事情、寄席の紹介、落語家懐事情等と続き、締めは独断と偏見もまじえたカテゴリー別の落語家紹介。
「真打」の語源などの豆知識あり、ある落語家の持ちネタが約200本、すぐできるものが35本と聞いて、自分たちガイドは?と思わず反省させられる場面あり、英語でやるならお薦めのネタ紹介ありと、ガイドにも役立つ飽きさせない内容は、落語愛に溢れていました。
こうして参加者が落語の知識と愛で準備万端と整えたところで、我らが英語落語の真打登場!「かつら枝雀」ならぬ「かつら志岳」師匠です。
落語の構成は「マクラ、本文、オチ」ということで、まず手始めはマクラから。「かつら志岳」という名前の由来、ジェスチャー付きの唄『ふるさと』、都道府県によるリアクションの違い等々で、つかみはばっちり。
そしていよいよ本文『ホワイトライオン』が始まります。扇子をマイクに、手ぬぐいをメモや缶ビールに代え、時折オーバーアクションを交えながらも決して慌てない落ち着いた語り口と演技力に、聴衆はどんどん引き込まれていきます。トラの鳴き真似も絶妙。気づくとあっという間にオチを迎えていました。皆がいかにかつら志岳ワールドを楽しんだかは、その掛け値なしの笑顔が証明しています。
普段は「シャイ」だけれど、落語をやるときは「別人」になりきること、かつら枝雀師匠の「ガハハ」と笑いながらもほろっとくるペーソスを体現することを心掛けているとのこと。
多くのガイドが課題としている「お客様を笑わせる」こと。今回のような本格的な落語を皆が真似できるわけではなくとも、落語を構成している要素の一つひとつが、何らかの形で役に立つはずです。短い小話、演技の仕方、物真似、小物の使い方等々。そして落語の背景知識も。
皆が心から楽しみエネルギー充電。今度はぜひ本場の寄席に足を運びたいと思いながら研修を終えました。
ちなみに、志岳師匠が初めて人前で落語を披露したのはなんと小5のとき!参観日に来ていた親御さんたちの前でのことだったとか。歴史が違う!
お後がよろしいようで。