2020.04.01

「食」は旅の大事な思い出

旅行の楽しみの一つに「食」があります。ハワイからの三世代家族の目的の一つも、やはり「食」。日本の旅行自体が初めての方も、何度も来ていて北海道もリピーターの方も、それぞれ海鮮・乳製品・スイーツなど、ご滞在中に召し上がりたいもの、お土産に買いたい物のリクエストを沢山思い描いての来道でした。かなり裕福なご両親がスポンサーということで、個別にお話しすると皆さん、口を揃えてご両親の希望を出来るだけ叶えたいと仰います。

まずお婆様には、大好物のかに料理屋で誕生日のお祝いをする手筈になっていましたが、滞在中、他に希望が出てきたら、その都度、対応して欲しいとのご要望でした。わらび餅やチーズケーキ、お茶など、お買い物のサポートや、誕生日プレゼントにちょっとした小物をお渡ししたところ、喜んで頂けたようです。

お爺様のご希望は、お酒を購入することと、きんきを食べたいということでした。お酒の方はすんなりと解決出来たのですが、きんきが思いの外、難儀しました。高級魚の為、札幌市内で取り扱いのあるお店が限られ、また提供可能なお店の殆どが夜のみの営業とのこと。しかし札幌滞在中の夕食は、既に他の予約(ビール園とかに料理)で埋まっており、唯一、ガイドの同行しないフリーな日の昼食がきんきを食べに行ける機会であることが判明。この日の昼食時に利用可能なお店を片っ端から調べ、3件の候補を見つけましたが、基本的にどの店もきんきの入荷の有無は当日まで不確定で、確実に仕入れをお願いしたい場合は来店日の3日前までの予約が必要だったり、英語メニューがなかったり、お店の場所がわかりにくいなど、色々と制約がありました。お客様にご予定を伺いましたが、全員で行動するかも未定とのことでしたので、一番、お客様だけで利用するのにハードルが低そうな中央卸売市場場外のお店を第一候補、万が一ダメだった時に備えて街中のお店を第二候補としてご紹介することにしました。場外市場のパンフレットやそれぞれのお店のアクセス方法を渡し、場外市場の場合、往復無料バス利用方法、当日の朝、6:00amにガイドがお店にきんきの入荷可否を確認してホテルフロントに伝えておくことなど、必要情報をお伝えし、ご了承頂きました。

そして翌日にフリーな一日を控えたかに料理屋でのお誕生会。掘り炬燵式の個室で、お婆様の誕生日ということで、次々に運ばれる新鮮で豪華なメニューに皆さん大興奮!北海道の新鮮な魚介の数々、特にかにの食べ比べでは、毛ガニの甘さ、かに味噌の美味しさに感激されていました。そしてコースメニューの中に、見覚えのある魚が!!なんと、お爺様の熱望されていたきんきが用意されていたのです。

事前に確認連絡をした際、大まかなメニュー内容は教えて頂きましたが、仕入れにより内容が変わることもあるので、と細かいことは確認出来ていなかったので、とても嬉しい誤算でした。早速、みなさんのお部屋へ行き、ちょっとしたサプライズがあることをお伝えしました。するとそこに大きなきんきの開きがテーブルへ。それがきんきだと判り大喝采!!しかも塩焼きで食べるのがお爺様の一番好きな食べ方で、ここのきんきは最高に美味しい、と満面の笑み。その姿を見て大喜びのご家族の面々。きんきのお店探しの苦労も一瞬で吹き飛んでしまう光景でした。

最後にお願いしていたケーキも大好評で、お店の料理や雰囲気を大変気に入って頂き、お店の連絡先を教えて欲しいとのことだったので、お店情報を英語で表記しお渡ししました。

最終日のお見送りでの空港。最後のお買い物タイムにスーツケースの荷物番をしている間、お爺様からかに料理屋へ行った翌日の朝も中央卸売市場場外に行き、またきんきとかにを召し上がったこと、ハワイでは食べられないきんきを食べるのが日本での何よりの楽しみだということを伺い、改めてきんきを召し上がって頂くことが出来て良かったとホッとしました。

パーティ用品も多く準備され、お誕生日やクリスマスを祝い、沢山笑って、食べ尽くした賑やかなご一家との旅は、とても印象に残っています。