2020.03.03

子供にとって「旅」とは?

我が家の初めての海外旅行は、1990年代の始めのことでした。それまでは、道内や東北への自動車旅行が主だったのですが、長男が小学4年生になったのを見計らって、家族一緒にハワイに出かけました。10歳にもなれば、後々まで記憶が残るだろう、と考えたからです。結局これが、最初で最後の海外家族旅行になりましたが、今でも共通の楽しい思い出になっています。

それから30年経った今、仕事でお付き合いするお客様は、お子さんを中心とした家族旅行が殆どです。乳幼児が同行することもあります。爺さんガイドとしては、彼らの扱いにいつもとは違う気遣いが必要ですが、それを補って余りある楽しさがあります。まるで自分の孫とふれ合っているような感じです。

先日ご一緒した、フィリピンのJulieさんグループには、2家族4人のお子さんが同行していて、最年長は11歳のIsisちゃん、最年少はまだあどけない6歳の女の子Zoieちゃんでした。

ルスツでは、生まれて初めての雪遊びに夢中になり、小樽では好みの楽曲のオルゴールの飾り付けに時間を忘れ、白い恋人パークではクッキーのお絵描きで余ったチョコレートを、パクパク。

今回はご両親・お婆ちゃんも加わったツアーでしたが、大人の方々は自分自身の楽しさに加え、お子さんたちの喜ぶさまを見て楽しむという、二重の楽しさを感じていただけたことと思います。

さて、ツアーガイドとしての「気がかり」は、果たしてこのお子さんたちが、今回の旅をどこまで記憶していてくれるか、ということです。

人の顔や言葉のように、繰り返すことで早いうちに獲得する記憶に比較し、旅行の思い出などは「エピソード記憶」と呼ばれ、これを記憶する機能は3歳頃までに完成するのだそうです。

しかし、その頃から急速に蓄積される新しい記憶の中に、幼い頃の記憶が埋もれてしまい、なかなか取り出しにくくなる現象が起きる、ということです。

楽しい記憶を埋もれさせないためには、写真などできちんと記録を残すこと、そして常日頃家族の間で、楽しかった思い出を繰り返し話し合うこと、が大事ですね。

温かいご両親たちと一緒に、北海道を訪れてくれたお子さんたちとふれ合うにつけ、この楽しい旅の記憶がふたつの国を結ぶ確かな絆に育ってほしい、と考えたことでした。

参考:覚えてなくてもお出かけは大事! 子どもの記憶の仕組みを紹介
https://iko-yo.net/articles/2071